伊勢物語-第百十六段 はまびさし

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、すずろに陸奥の国までまどひいにけり。

 

京に思ふ人にいひやる、

和歌(197)

浪間より見ゆる小島のはまびさし久しくなりぬ君にあひ見で

 

「何事もみなよくなりにけり」となむいひやりける。

 

(現代訳)

昔、男が特段な理由もないが、なんとなく心惹かれて陸奥の国までさまよい行った。

 

京の都に残してきた思いを寄せる人に言い送った。

和歌(197)

浪間から見える小島の浜辺に家々のひさしが見える。貴女に逢わなくなって久しく時間が経ってしまいました。

 

「何事も、全てが良い具合になりました」と言って送ったのであった。

  • 和歌(197)

家々の「ひさし」と「久しい」が掛けられている。

 

  • 何事もみなよくなりにけり

離れてみて、長く逢わない時間があってこそ、そこで初めて相手の大切さが分かる…

この感覚は、現代も古代も同じなようです…つまりそうゆうことを引っくるめて、旅に出て、「何事もみなよくなりにけり」。

 

女からの返歌は載っておらず、男の自己満足ではなく、女も同じ気持ちでいてくれていることを願いますよね…

Coccoさんの「強く儚い者たち」のようなことも男女間では往々にしてあることですから…笑

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