伊勢物語-第百二十二段 井出の玉水
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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
(原文)
むかし、男、ちぎれることあやまれる人に、
和歌(205)
山城の井出の玉水手にむすびたのみしかひもなき世なりけり
といひやれど、いらへもせず。
(現代訳)
昔、男が、結婚の約束を違えた相手に、
和歌(205)
山城の井出の玉水を手ですくい上げて飲もうと頼みにしていたのに、頼みにした甲斐もない二人の関係ですね。
と言いやったが、女は返事もしない。
「掬び」(水を両手ですくって飲むこと)と「結び」(結婚)の掛詞。
京都府綴喜郡井手町を流れる「玉川」のこと。
いくつもの錚々たる歌人が歌に詠んできた歌枕で、実際に行きましたが、川沿いには多くの歌碑が並んでいます。
要は、男女が結婚の約束をしていたが、女がその約束を果たさなかったのです。
山城の井出の玉水を手ですくって飲んだように、貴女を頼みにしていたのに、その甲斐もなかった…と。
男の恨み節に対して、女は何の返事も返しませんでした。
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