伊勢物語-第十段 月しあれば(伝 為氏本)

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

昔、男すずろなる所に行きて夜あけてかへるに、人々いひさわぎければ、

和歌(13)

月しあればあらはむことも知らずして寝てくるわれを人やみつらむ

 

(現代訳)

昔、男がこれといった理由もなく心惹かれる所に行き、一晩過ごして夜が明けてから帰った際に、夜を明かしたその家の人々があれこれ言って騒いだので、

和歌(13)

明るい月が私の姿を洗うように照らし出していることに気付かなかったために、夜を明かして帰ってゆく姿を家の人に見られてしまったのであろう。

分かりづらいですが、一晩過ごした家は女の家です。

まだ正式に結婚していない関係では、男が女の家を訪れても人目に付かないようにまだ夜が明けない暗いうちに帰るもの…

 

しかし、夜が明けてしまうまで居たために、その家の侍女などに見られてしまい騒がれてしまったとゆう話。

 

和歌(13)は、夜が明けるまで寝過ごしてしまったのではなく、夜が明けるうちに帰ろうとしたのだが、あまりに月が明るくて見られてしまったのであろう…と男の言い訳を詠んでいます。

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