日の本の屋根裏から日本を考える

伊勢物語-第四十二段 誰が通ひ路

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、色好みと知る知る、女をあひいへりけり。

 

されど憎くはたあらざりけり。

 

しばしば行きけれど、なほいとうしろめたく、さりとて、行かではた得あるまじかりけり。

 

なほはた、えあらざりける仲なりければ、二日三日ばかりさはることありて、え行かでかくなむ、

和歌(79)

出でて来しあとだにいまだ変らじをたが通ひ路といまはなるらむ

 

ものうたがはしさによめるなりけり。

 

(現代訳)

昔、男が、多情で気の多い女と知りつつその女と関係を交わした。

 

そうとは言いつつも、憎いという感じではなかった。

 

たびたび女のもとに通っていたが、やはり女の心変わりが心配で、もう関係をやめてしまおうかと思ったが、そうすることはできなかった。

 

なんと言っても、通って行かずにはおれない仲であったので、二日三日ほど差し支えがあり通って行くことができなかったので、男は次のように詠んだ。

 

和歌(79)

あなたの家を出て帰ってきたわたしの足跡もいまだ変わらず残っていることでしょうが、今は誰が通っているのでしょうか。

 

なんとなく女を信じることができなくて、詠んだ歌である。

たびたびこの「色好みの女」が登場してきます。

 

男は、それでも愛想尽かす訳でもなく、嫉妬心がむくむくと・・・

 

裏を返せば、それだけ魅力的であった女とも言えるのでしょう。

 

しかし、この和歌(79)は、なんとも女々しい情けない男の印象を想起させます。

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