日の本の屋根裏から日本を考える

伊勢物語-第四十六段 うるはしき友

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、いとうるはしき友ありけり。

 

片時さらずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れにけり。

 

月日経ておこせたるふみに、

「あさましく対面せで、月日の経にけること。

忘れやしぬまひにけむと、いたく思ひわびてなむはべる。

世の中の人の心は、目離めかるれば忘れぬべきものにこそあめれ」

 

といへりければ、よみてやる。

和歌(86)
目離めかるとも思ほえなくに忘らるる時しなければ面影に立つ

 

(現代訳)

昔、ある男がたいそう人情深い友人をもっていた。

 

片時も離れることなく、互いに気持ちが通じ合っていたが、その友人が都から離れた地方へ赴任したので、男はたいそうしみじみと別れたのであった。

 

年月が経ってから、その友人がよこしてきた手紙に、

「あきれるくらいに久しく逢うことなく、月日が経ってしまった。

もうわたしのことなど、忘れてしまったのではないかと、たいそう思い悩んでおりました。

世間の人の心は、離れていると忘れてしまうのが当然のようですね」

 

と手紙に書いてきたので、男は歌を詠んで送った。

和歌(86)

逢えないで離れているとは思いません。あなたをを忘れてしまうときがありませんので、あなたの面影はいつでも目の前に現れます。

男同士の友情の話。

 

もしかしたら、第四十四段の地方官として地方へ赴任する人に対して、はなむけの宴をした話と通じるのかもしれない。

 

地方へ赴任した人を紀有常きのありつねと解釈すると、

業平と有常ありつねは義父と義息という関係だが、関係は良好であったので、矛盾はしない。

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