伊勢物語-第七十一段 神のいがき

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、伊勢の斎宮さいぐうに、内の御使にてまゐれりければ、かの宮にすきごといひける女、わたくしごとにて、

和歌(130)

ちはやぶる神のいがきもこえぬべし大宮人の見まくほしさに

 

男、

和歌(131)

恋しくは来ても見よかしちはやぶる神のいさむる道ならなくに

 

(現代訳)

昔、男が伊勢の斎宮さいぐうの御殿に、勅使として参ったところ、そこで色好みの話をしてきた女が、自分自身の個人的な恋の表現として、

和歌(130)

神聖な神の領域をも越えてしまいそうです。宮廷から来られた貴方にお目にかかりたいばかりに。

 

男、

和歌(131)

恋しいなら来てごらんなさい。恋は、神さまがおとがめになるものではありませんから。

この段では、女は、斎宮さいぐうではなく、斎宮さいぐうに仕える女房という立場。

したがって、絶対不可侵かつ操を通す必要のある斎宮さいぐうとしての葛藤もなく、気楽なやり取りなようです。

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