伊勢物語-第八十九段 なき名

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、いやしからぬ男、われよりはまさりたる人を思ひかけて、年ける。

和歌(163)

人しれず我恋ひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせむ

 

(現代訳)

昔、身分の低くない男が、自分よりも身分の高い女に恋をして、どうすることもできないまま長い年月が経ってしまった。

和歌(163)

誰にも知られることなく、私が恋死にをしたのなら、つまらないことに、人々はどの神のせいにして、神の祟りにあったなどと噂するのであろうか。

伊勢物語で、男が、「身分の高い女」に恋をした…というなら、業平と二条后高子たかいこということでしょう。

 

業平は思います…

このまま高子たかいこへの思いを秘めたまま恋死にしたら、人々は、きっと神の祟りにでもあったと考えるであろうと。

そんなことなら、高貴な高子たかいこに恋し続けて、死んだと思われる方がよい。

 

神に無実の罪もきせることにもなるのだから…

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