古事記を読む(103)上つ巻-日向三代

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

木花之佐久夜毘売このはなさくやひめ

その後しばらくして、木花之佐久夜毘売このはなさくやひめは、邇邇芸命ににぎのみことのもとに来て、

「わたしは、妊娠しており、出産するにあたり、この子は、天つ神あまつかみの御子でありますから、私事で生んでよいものではございませんので、ご報告に上がりました。」

と仰せになりました。

これに対して、邇邇芸命ににぎのみことは、

佐久夜毘売さくやひめよ。一晩の契りで妊娠したというのか。それはきっとわたしの子では無いであろう。きっと国つ神くにつかみの子であろう」

と仰せになりました。

木花之佐久夜毘売このはなさくやひめは、

「わたしが生む子が、もし国つ神くにつかみの子であるならば、無事に生まれなはしないでしょう。もし天つ神あまつかみの子であるならば、無事に生まれるでしょう」

と答えると、

すぐに出入り口のない八尋殿やひろどのを建てて、その中に入ると、土で入り口を塞いでしまい、出産が近づくと、その御殿に火を放ち、その中で子を生みました。

「わたしが生む子が、もし国つ神くにつかみの子であるならば、無事に生まれなはしないでしょう。もし天つ神あまつかみの子であるならば、無事に生まれるでしょう」:これもお馴染みの一種の誓約うけいです。

八尋殿やひろどの大きい神聖な宮殿。

 

「それ俺の子ども?」

これは、現代でも言ってはいけない言葉の代表格かもしれませんが、これに対して、木花之佐久夜毘売このはなさくやひめは、命を懸けた誓約うけいで自らの潔白を証明します。

その因果関係は、別として・・・そもそも誓約うけいとはそういうものです。

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