古事記を読む(129)中つ巻-初代・神武天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

兄宇迦斯えうかし弟宇迦斯おとうかし

石押分之子いわおしわくのこは、吉野国巣よしののくずの祖です。

その地を踏み越えて、宇陀うだ(奈良県宇陀市)に到着しました。

この地を宇陀うだ穿うかちといいます。

宇陀うだの地には、兄宇迦斯えうかし弟宇迦斯おとうかしの2人がいました。

 

神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことは、まず八咫烏やたがらすを2人の元に遣わせて、2人に次のようにお尋ねになりました。

「今、天つ神あまつかみの御子がおいでになっているが、あなたたちもお仕えになりませんか」

しかし、兄宇迦斯えうかしは、鳴鏑なりかぶら八咫烏やたがらすを射って追い返してしまいました。

その鳴鏑なりかぶらが落ちた土地を訶夫羅前かぶらさきと言います。

 

兄宇迦斯えうかし弟宇迦斯おとうかしは、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことを待ち伏せして撃とうと、兵を集めようとしました。

しかし、十分に兵を集めることができなかったので、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことに偽って仕えるように、御殿を作り、御殿の中に押機おしを作って神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことを待ち伏せしました。

 

すると、弟宇迦斯おとうかし神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことを出迎えて、

「わたしの兄である兄宇迦斯えうかしは、天つ神あまつかみの御子の遣いである八咫烏やたがらすを射返して、待ち伏せして御子を攻めるため、兵を集めようとしましたが、十分に集まらず、御殿を作って、押機おしを仕掛けて待ち伏せしています。そういう訳で、こうして御子を出迎えて、すべてを説明しました」

と申し上げました。

押機おし踏むと圧死するように仕掛けた罠。

 

ここで、八咫烏やたがらすは、話すことができることが判明しました。

兄の兄宇迦斯えうかしの企てを弟の弟宇迦斯おとうかしがすべて白状してしまいました。

結果、兄宇迦斯えうかしは、殺害されるのですが、古事記では、兄弟ではどうも兄が不遇を見ることが多いような気がします。

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