古事記を読む(153)中つ巻-第10代・崇神天皇

 




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雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

三輪山の大物主神おおものぬしのかみ

意富多々泥古おおたたねこが神の子であると分かったのには、次のような理由がありました。

 

とても美しい少女の活玉依毘売いくたまよりびめの元に優れた容姿の若い男性が、夜になるとやってきました。

やがて、2人は、愛し合い結ばれて、一緒に過ごしていると、活玉依毘売いくたまよりびめは妊娠してしまいました。

 

そこで、活玉依毘売いくたまよりびめの両親は、娘の妊娠を疑問に思いました。

「おまえは、自ずと妊娠した。夫もいないのに、なぜ妊娠したのか」

と尋ねると、

活玉依毘売いくたまよりびめは、

「麗しい男性が来られました。名前も知らない男性が、毎晩のようにわたしの元にやって来て、一緒に過ごしているうちに妊娠したのです」

と答えました。

 

両親は、その男性のことを知りたいと思い、娘である活玉依毘売いくたまよりびめに言いました。

赤土はにを床に散らして、糸巻きに巻いた麻糸を針に通して、その男性の衣の裾に刺しなさい」

 

活玉依毘売いくたまよりびめは、言われたとおりにし、翌朝になり見てみると、針で付けた麻糸は、戸の鍵穴を通り出て、糸巻きに残っている麻糸は、たった三勾みわ(三巻ということ)だけでした。

 

このことから、その男性が鍵穴から出て行ったことを知り、その糸をたどっていくと、三輪山の神社にたどり着きました。

そのことから、その男性が大物主神おおものぬしのかみであるということが分かりました。

 

その麻糸が三勾みわ(三巻)だけ残っていたことから、その地を「美和」と呼ぶようになりました。

 

意富多々泥古命おおたたねこのみことは、神君かみのきみ鴨君かものきみの祖です。

この話は、「三輪山伝説」です。

三勾みわ(三巻)」と「三輪」が掛かっています。

できるだけ忠実に訳しているので、ちょっと分かりにくいですが、要は、娘と両親で一緒に暮らしていて、娘の元に男が来たことなどないのに、娘が妊娠して両親が不思議に思ったということです。

この当時は、男が女性の元に通う夜這いの文化です。

大物主神おおものぬしのかみが鍵穴を通って活玉依毘売いくたまよりびめの元に通っていました。

 

夜這いを受け入れるかどうかの選択権は、女性にあります。

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