古事記を読む(16)上つ巻-伊邪那岐神と伊邪那美神 2018-04-06 2019-01-06 WRITER 雨野やたしげ 1 この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 黄泉国よみのくに 伊邪那岐神いざなきのかみは、変わり果てた伊邪那美神いざなみのかみの姿を見て、びっくりして逃げ出しました。 すると伊邪那美神いざなみのかみは、 「わたしに恥をかかせたな」 と言って、すぐに予母都志許売よもつしこめという黄泉国よみのくにの醜女しこめに後を追わせました。 そこで伊邪那岐神いざなきのかみは、髪に巻き付けていた黒い蔓 かずらを取って投げました。 すると蔓 かずらが勢いよく成長して山葡萄ぶどうがなり、醜女しこめがこの山葡萄ぶどうを食べている間に伊邪那岐神いざなきのかみは逃げました。 しかし、再び醜女しこめがしつこく追ってきたので、次は、左右に束ねた髪の右の髪に刺してあった櫛くしを折って投げると今度は筍たけのこが生えてきました。 醜女しこめがこの筍たけのこを食べている間に伊邪那岐神いざなきのかみは逃げました。 伊邪那美神いざなみのかみは、自分の身に成った雷神と1500の軍勢も追わせていました。 伊邪那岐神いざなきのかみは、十拳剣とつかのつるぎを後ろ手に振りながら走りました。 なお黄泉国よみのくにの軍勢は追ってきます。 ようやく黄泉国よみのくにと現実の世界の境にあたる黄泉比良坂よもつひらさかまで来たときに、そこの桃の木から桃の実を3個とり、投げると軍勢は退散して逃げて行きました。 伊邪那岐神いざなきのかみは、その桃の木に、 「わたしを助けてくれたように、葦原中国あしはらのなかつくにに住む人々が苦しいときには助けてあげてくれ」と言い、意富加牟豆美命おおかむずみのみことという名前を与えました。 蔓 かずら:つる草。古代では髪飾りや髪を結ぶのに使用。 黄泉比良坂よもつひらさか:黄泉国よみのくにと現実の世界の境にある坂。 葦原中国あしはらのなかつくに:地上の世界。日本の国土を指す。以降、古事記では頻繁に出てくる単語。 この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 前の記事 -Prev- 古事記を読む(15)上つ巻-伊邪那岐神と伊邪那美神 次の記事 -Next- 古事記を読む(17)上つ巻-伊邪那岐神と伊邪那美神 関連記事 - Related Posts - 古事記を読む(25)上つ巻-天照大御神と須佐之男命 古事記を読む(205)中つ巻-第15代・応神天皇 古事記を読む(221)下つ巻-第16代・仁徳天皇 古事記を読む(166)中つ巻-第11代・垂仁天皇 最新記事 - New Posts - 伊勢物語 あとがき 伊勢物語-第十八段 あきの夜も(伝 為氏本) 伊勢物語-第十七段 夢と知りせば(伝 為氏本) 伊勢物語-第十六段 太刀のをがはの(伝 為氏本)