古事記を読む(2)上つ巻-天地の創生
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日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
特別な別天神と神世七代
天地が初めてひらけたとき、高天原に成った神は、天之御中主神でした。
間もなく高御産巣日神、次に神産巣日神が成りました。
この三柱の神は、いずれも独神で、すぐに姿を隠してしまいました。
このとき大地はまだやわらかく、水に浮かぶ脂のようで、海月のようにぷかぷかと漂っていました。
ところが葦の芽のように萌えあがったものから、宇摩志阿斯訶備比古遅神、
次に天之常立神が成りました。この二柱の神もともに、独神でやはりすぐに姿を隠してしまいました。
これらのの五柱の神は、特別な神で「別天神」と申します。
次に国之常立神、次に豊雲野神が成りますが、この二柱の神も独神で、すぐに姿を隠してしまいました。
次に初めて男神と女神が成り、
宇比地邇神とその妻の
須比智邇神、
次に角杙神とその妻の活杙神、
次に意富斗能地神とその妻の大斗乃弁神、
次に於母陀流神とその妻の阿夜訶志古泥神、
次に伊邪那岐神とその妻の伊邪那美神、
が成りました。
以上の国之常立神から伊邪那美神までを「神世七代」と申します。
成る:後に伊邪那岐神と伊邪那美神は、様々な神を生んでいくが、「生まれる」に対して、化成に近いイメージ。
天之御中主神:一番初めに現れた神だが、古事記ではその後1度も現れることのない神秘に満ちた神。
柱:神様を数えるときの単位。
独神:男女の区別のない神。
天地初発:世界の始まりに関する古事記の考え方。天と地が初発した後に神々が現れる(古事記の本文では天地初発、序文では天地開闢と書かれている)。
天地開闢:世界の始まりに関する中国の考え方。混沌として、1つのものであった 天地が天と地に分離する。海外向けに書かれた日本書紀では、世界の始まりは、この天地開闢とされている。
古事記の本文と序文での天地の始まりの違いは、単なる間違いなのか意図的なものなのかは、分かりません・・・
いずれにせよ、
旧約聖書では、神がまずあって天地を創造するが、古事記では、天地がまずなった後に神々が現れる。
このあたりからもそれぞれの世界観の違いが読み取れます。