古事記を読む(209)中つ巻-第15代・応神天皇

 




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雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

大山守命おおやまもりのみことの反逆

応神おうじん天皇が崩御されると、大雀命おほさざきのみこと(のちの仁徳天皇)は、応神おうじん天皇の遺言に従って、皇位を弟の宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこに譲りました。

 

しかし、兄の大山守命おおやまもりのみことは、応神おうじん天皇の遺言に背き、宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこを殺そうと準備をしていました。

 

大雀命おほさざきのみことは、兄の大山守命おおやまもりのみことが武器を用意していると聞くと、宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこに使者を遣わせてそのことを伝えました。

 

そのことを伝え聞いて驚いた宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこは、

兵を宇治川のほとりに潜ませ、山の上に絹で作った幕を張って、そこに舎人とねりを御子に仕立てて、よく見えるように王の椅子に座らせて、部下達をうやうやしく、行き来させて、いかにも御子がそこに座っているように見せ掛けました。

 

大山守命おおやまもりのみことは、川を渡る際に、船を用意すると、さなかずらの根の汁を船底に塗り、それを踏むと転ぶように仕掛けました。

 

宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこは、布の下賎げせんな服を着て、舵を取って船に立っていました。

 

大山守命おおやまもりのみことは、兵を潜ませ、服の中に鎧を着て、川辺の船に乗ろうとしました。

 

そして、宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこが山の上に作った陣を見て、宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこがそこにいると思い込みました。

 

大山守命おおやまもりのみことは、実際は、宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこが舵を取る船に乗っているとは思わずに、

その舵取り(宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこ)に話しかけました。

「この山に、凶暴な大猪がいると聞いた。わたしはその猪を討とうと思うが猪が討てるだろうか」

 

その舵取りは、

「出来ないでしょう」

と答えました。

 

大山守命おおやまもりのみことが、

「どうしてか」

と問うと、

 

舵取りは、

「今まで、何度もその大猪を討とうとしましたが、討てませんでした。なので、出来ないでしょうと答えました」

と答えました。

舎人とねり天皇の身の回りの世話をする者。

 

宇遅能和紀郎子うじのわきいらつこは、なかなかの策士です。

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