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古事記を読む(255)下つ巻-第23代・顕宗天皇

 







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雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

市辺忍歯王いちのべのおしはのみこ御骨みかばね

顕宗けんぞう天皇は、お戻りになると、その老媼おみなをお呼びになり、御骨みかばねが埋められた場所を忘れずに、またその正確な地を覚えていたことを誉め、名を賜い置目老媼おきめのおみなと名付け、さらに宮殿に召し入れて、手厚くもてなしました。

そして、その老媼おみなの住む家を宮殿の近くに作り、毎日、必ずお呼びになりました。

 

ぬりて(釣り鐘のような大きな鈴)を宮殿の戸に掛けて、その老媼おみなをお呼びになりたいときは、必ずそのぬりてを引き鳴らしました。

 

そして、天皇は、次の歌をお詠みになりました。

和歌(103)

浅茅原 小谷を過ぎて 百伝う ぬりてゆらくも 置目来らしも

(茅の低い高原や小さな谷を過ぎて、ぬりてを揺らし響かせれば、置目が来るだろう)

 

やがて、置目老媼おきめのおみなは、

「わたしは、とても老いてしまいました。故郷に退こうと思います」

と申し上げました。

 

そして、申し出のとおりに故郷に退くとき、天皇がお見送りになり、次の歌をお詠みになりました。

和歌(104)

置目もや 淡海の置目 明日よりは み山隠りて 見えずかもあらむ

(置目よ。近江の置目。明日からは、山に隠れてしまって見えなくなるのだろうか)

顕宗けんぞう天皇は、父の御骨みかばねが埋められた場所を覚えていた老媼おみな置目老媼おきめのおみなと名付け、厚遇します。

置目おきめというのは、よく目で見て覚えていたというニュアンスが含意されているのでしょうが、そのままのネーミングです。

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