2019/01/06

古事記を読む(52)上つ巻-大国主神

 




この記事を書いている人 - WRITER -
雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

因幡の素兎いなばのしろうさぎ

(以下、兎の語り)

兎は、

「わたしは、淤岐島おきのしまに居りました。この地に渡ろうとしましたが、渡る方法がありませんでした。

そこで、海の和邇わにを騙して、

『わたしとあなたと、どちらの一族の数が多いのか競ってみよう。あなたはある限りの一族を集めて、この島から気多けたの岬まで列になって並んでください。そうしたら、その上をわたしが飛んで走りながら数えて、わたしの一族とどちらが多いか知ることにしよう』

と言いました。

和邇わにが騙されて列になって伏せているときに、わたしはその上を踏んで数えながら渡りました。ちょうど地に下りようというときに、わたしは、

『おまえたちはわたしに騙されたのだ』

と言い終わるや否や、一番端に伏していた和邇わにが、わたしを捕まえて、わたしの皮を剥ぎ取ってしまったのです。

そして泣いていると、八十神やそがみの兄弟神達が通りかかり、

『海水を浴びて、風に当たって伏せていろ』と教えてくれました。

そして、その教えのとおりにしていると、我が身はすっかり傷だらけになりました」

と言いました。

和邇わに一般的にはワニザメのことだと言われていますが、いわゆるワニという意見と論が分かれるみたいです。

わたしの皮を剥ぎ取ってしまった:原文では「我が衣服を剥ぎき」となっています。兎が衣服というのもおかしいし、海水にしみるのも「皮」を剥がされてこそだと思いますので、「皮」としましたが、斐伊川ひいがわ八岐大蛇やまたのおろちに例えたように、もしかしたら人を兎に例えているのかもしれません。

 

要は、

兎が淤岐島おきのしまから気多けたに渡る手段が無かったので、

「どちらの種族が多いか比べよう。並んで列になってくれたら数える」

和邇わにを騙して並ばせて和邇わにの背中を渡って来たが、気多けたに降り立つ最後のとき、最後尾の和邇わに

「ばーか。騙されてやんの」

と言ったら、捕まって皮を剥ぎ取られたという話です。

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