古事記を読む(56)上つ巻-大国主神

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

因幡の素兎いなばのしろうさぎ

大穴牟遅神おおなむぢのかみが蘇生している様子を見た八十神やそがみは、大穴牟遅神おおなむぢのかみを再びあざむき山に連れて入り、大木を切り倒してくさびを打ち込み、そこにできた割れ目に大穴牟遅神おおなむぢのかみを入れて、くさびを引き抜き、挟み込んで殺してしまいました。

そして、また、母神の刺国若比売さしくにわかひめは、大声で泣き悲しんで、大穴牟遅神おおなむぢのかみを探し求めたところ、見つけることが出来たので、木を裂いて、挟まれた大穴牟遅神おおなむぢのかみを取り出して蘇生させました。

母神の刺国若比売さしくにわかひめは、は、大穴牟遅神おおなむぢのかみ

「おまえは、ここに居たら、八十神やそがみに滅ぼされてしまう」

と言い、

そうして刺国若比売さしくにわかひめ

紀伊国きいのくに(和歌山県)の大屋毘古神おおやびこのかみのもとに人目を避けて、大穴牟遅神おおなむぢのかみを行かせました。

はい、ツッコミどころ満載ですね。

1. 大国主神おおくにぬしのかみ再び死す!?ここまでくると、人が良いというより、あの偉大な大国主神おおくにぬしのかみは、バカだったのかと疑いたくなるレベルです。

2.殺し方のクセが強い。この殺し方をあえて選択した意図は分かりません・・・

3.母神の刺国若比売さしくにわかひめさん、1回目のときも自分で蘇生させれば良かったんじゃ・・・火傷系は無理なのか・・・

 

物語上、蘇生させるのなら、最初から殺さなければよいとも思いますが、大国主神おおくにぬしのかみは、のちに日本を造り上げ、天照大御神あまてらすおおみかみに国を譲ります。いわゆる「国譲り」です。

1回目の蘇生を手助けしたのは、天照大御神あまてらすおおみかみが統治する高天原たかまのはらの神である𧏛貝比売きさがいひめ蛤貝比売うむぎひめでした。

大国主神おおくにぬしのかみ自らの力で日本を造ったのではなく、天照大御神あまてらすおおみかみが統治する高天原たかまのはらの神々の力を借りなければ国造りは不可能であり、助けてもらいながら、日本を造って行った、ということを強調し、

「国譲り」が、天照大御神あまてらすおおみかみによる一方的な要求ではなく、正当性と必然性を持った権利であることを示す意図があるのではないかと思います。

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