伊勢物語-第百十三段 短き心
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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
(原文)
むかし、男、やもめにてゐて、
和歌(194)
長からぬいのちのほどに忘るるはいかに短き心なるらむ
(現代訳)
昔、男が女と別れて、一人で暮らしながら、
和歌(194)
長くもない一生のうちに、愛し合ったことも忘れてしまう。なんと短い心なのだろう。
妻と別れ、または死別して独り身になった男。
この場合、「短き心」を誰の心と解釈するかで意味が異なってきます。
「短き心」を女のものとすると、
あれほど愛し合って一緒になったのに、女が愛想を尽かして家を出て行った、と読めて男の恨み節のような嘆きが聞こえてきます。
「短き心」を男のものとすると、
妻と死別し、当初はその寂しさに苦しんでいたのでしょう…しかし、日が経つうちにその寂しさも薄まり、自分の薄情さを自嘲している姿が見えてきます。
いずれにせよ、そう長くもない人の一生において、人の気持ちとゆうものは、その長くもない間でさえ持続することが難しいとゆうことですよね。
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