伊勢物語-第百十二段 須磨のあま

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、ねむごろにいひちぎりける女の、ことざまになりにければ、

和歌(193)

須磨のあまの塩焼くけぶり風をいたみ思はぬかたにたなびきにけり

 

(現代訳)

昔、男が、親しく情を込めて結婚の約束をした女が、他の男に心がなびいてしまったので、

和歌(193)

須磨の海女あまが塩を焼く煙が、風が激しいために思わぬ方向にたなびくが、貴女の心も、あらぬ方向にたなびいてしまったようだ。

  • 風をいたみ

風が激しいので。

 

 

「風をいたみ」は、この男との結婚に対して、女のもとに何かしらの外的障害が起きたことを示唆しているのかもしれない。

周囲の反対があったのか、はたまた別の男からの熱烈な誘いがあったのか…

 

「いひちぎりける」口約束を二人の間で交わされていたのであれば、男は不実と感じているのかもしれない…しかし、歌はあっさりとしている。

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