伊勢物語-第十二段 夕月夜(伝 為氏本)

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

昔、男ありけり。

わりなきことを思ひて、ある所へいひやりける、

和歌(16)

夕月夜あか月がたの朝かげにわが身はなりぬ君を恋ふとて

とありけれどいとかたくなりにけり。

 

(現代訳)

昔、男がいた。

どうにも手の届かない相手のことを恋しく思って、ある女の所へ言いおくった。

和歌(16)

夕月夜の早朝の朝日に照らされる影のように、我が身はうっすらと影薄くなってしまいました。あなたに恋焦がれて、やつれてしまって…

  • 夕月夜

夕方早くに月が出る夜。

夕方早くに月が出るので、沈むのも早い。明け方には月の姿はもうなく、辺りは暗く影も薄くなってしまう。

 

手の届かない身分違いの恋をして、空しい時間を過ごしていると思われる男自身の存在も、女にとっては影の薄いもの…

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