伊勢物語-第百二十五段 つひにゆく道

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、わづらひて、心地死ぬべくおぼえければ、

和歌(209)

つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日きのふけふとは思はざりしを

 

(現代訳)

昔、男が病気になり、死にゆくように思えたので、

和歌(209)

死の道とゆうのは、誰もが通る道であると、かねがね聞いていたが、まさか昨日今日に起こり得るとは思わなかった…

  • 和歌(209)

業平の辞世の歌

 

記録によると、業平は元慶4年(880年)に56歳でこの世を去ります。

辞世の歌は、遠い先のことと思ってきた「死」が昨日今日のことだとは思わなかった…「意外に早いな…」とどこかあっさりとした印象を受けます。

 

これも業平らしいのかなとも。

 

第百二十五段にわたり『伊勢物語』をいわゆる「定家本」に沿って書いてきましたが、「定家本」にはない章段もいくつか存在します。

「定家本」には載っていない章段を次回から書いてゆきます。

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