2019/05/27

「一世一元の制」に基づく新元号の事前公表の意味

 




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雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

な~んか堅苦しいタイトルになってしまった。

印刷屋の友人と話していて、「新元号」をさっさと発表して欲しいという切実な思いを聞いたので、ちょっと記事を書いてみたいと思う。

 

ついつい笑ってしまうのだが、印刷屋さんの苦労は、聞けば聞くほど同情を禁じ得ない。

 

しかし、

 

本来のわたしの思いを言わせていただくと、「新元号の事前公表」なんてとんでもなく、

心を鬼にして、会津風に、

「ならぬことはならぬもので~す」

なのである。

 

まぁ、わたし如きが何を思おうが、日本国のトップは、「新元号の事前公表」を閣議決定してしまっている。

平成31年4月1日に新元号公表

新元号は、恐らく現時点でもう決定しているのだろうが、とりあえず、平成31年4月1日に閣議決定して、その日のうちに公表することが決まっている。

 

事前公表の大きな理由としては、コンピューターソフトのシステム改修が追いつかないのが大きいとのこと。

 

これ、平成の世では、今上天皇がご譲位されたから、こういった「事前公表」という対策が可能であった訳で・・・

次、ご譲位ではなく、崩御という形で突然元号が変わると、このコンピュータ社会では大混乱が起きるてこと??

 

昭和から平成に変わったときのことは、当時小学生であったが、今でもよく覚えていて、

1989年1月7日に昭和天皇が崩御されて、その日のうちに新元号「平成」が発表されて、当たり前だが、翌8日から「平成元年」になったのである。

平成

 

その当時は、まだ「コンピューターソフトのシステム改修」なんて問題は起こり得ないから、個々の小さな混乱はあったであろうが、社会全体の大きな混乱というのは起こらなかった。

一世一元の制

「一世一元の制」、つまり「天皇一代につき1つの元号」が明治に旧皇室典範で成文法化されたが、敗戦で旧皇室典範が廃止されて、のちに現行の元号法ができた。

元号法

第一条 元号は、政令で定める。

第二条 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。

附則

第一項 この法律は、公布の日から施行する。

第二項 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。

 

「一世一元の制」に基づくと、当たり前だが、「崩御」イコール「新元号」となる。

つまり、

昭和の終わり、昭和天皇の容体が悪いことは、国民に発表されており、いよいよとなると「新元号」に関する取材は、不謹慎極まりないのであるが、水面下でヒートアップしていった。

 

今もちょうど、ご譲位に基づく「新元号」に関する関心が高まっているが、

こんなに「新元号」の話題を大っぴらに出来るのは、ご譲位によるものであり、

昭和末期には、「新元号」の話題などとんでもない話だった。

 

その空気感は、小学生でもびしびしと身に感じていた。

新元号の事前公表

つまり、

「一世一元の制」に基づけば、「新元号の事前公表」なんてものはあり得ない話であり、

 

今上天皇のご譲位は、平成31年4月30日なので、まだ「平成」である平成31年4月1日に、今上天皇の元で新元号を公表してしまうということになるのである。

 

「一世一元の制」では、元号は、新天皇の名で公表されるのが大原則である。

 

こういった理由で、本来なら「新元号の事前公表」なんてすべきではないと思う訳であるが・・・

社会の大混乱が起きるのであれば、そこはやはり、考えてしまう。

まとめ

ご存知のように、日本の最初の元号は、「大化」である。

「大化」から明治になるまでは、「一世一元の制」ではなく、災害や内乱が起こると元号をころころと変えていた。

 

ただし、「一世一元の制」と「元号法」があるのだから、法治国家としての大原則では、「新元号の事前公表」は、避けるべきである。

 

そして、「一世一元の制」の「新天皇の名での新元号の公表」という大原則。

 

大原則をとるか・・・

社会の混乱を避けるために事前公表をとるか・・・

 

保守を自他共に認める安倍首相は、後者をとったということである。

 

後日追記:さっそく「日本会議が抗議」

この記事を書いた3日後にさっそく「日本会議」が事前公表に抗議したニュースが出ていました。

日本会議が首相に「遺憾の意」 新元号の事前公表へ不満

2/3(日) 2:00配信

共同通信

 安倍晋三首相を支持する保守系団体「日本会議」が、皇位継承に伴う新元号を4月1日に事前公表する首相方針に「遺憾の意」を示す見解を機関誌に掲載したことが2日、分かった。天皇代替わり前の公表は「歴史上なかった」として、先例としないことも求めた。憲法改正など基本理念を共有する有力支持団体が不満を表明するのは「異例中の異例」(関係者)で、波紋を広げそうだ。

日本会議と連携する自民党保守派は皇室の伝統を尊重する観点から、5月1日に皇太子さまが新天皇に即位された後に改元政令を公布するよう訴えたが、首相が受け入れなかった経緯がある。

引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000009-kyodonews-pol

 

「天皇代替わり前の公表は「歴史上なかった」」

とありますが、「一世一元の制」の始まりは、明治ですからね。

そこまでの伝統ではないといえば、ない・・・

 

わたしは、少しずつ柔軟な考えになってきて、「社会的な混乱」が起こり得るならという前提で、「事前公表した方が良いのではないか」という考えになってきました。

 

これに関しては、伝統の「名」より「実」をとるべきではなかろうかと。

 

わたしも含め、外野は好き勝手言えますからね。

 

実際の為政者いせいしゃは、「現実主義」で行かざるを得ないと思いますし、そうあるべきだと思います。

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雨野やたしげ
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