伊勢物語-第五十四段 つれなかりける女
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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
(原文)
むかし、男、つれなかりける女にいひやりける、
和歌(100)
ゆきやらぬ夢路を頼む袂には天つ空なる露やおくらむ
(現代訳)
昔、ある男が、冷淡で自分になびかない女に次の歌を送った。
和歌(100)
逢うことは叶わない夢路を頼りにして眠るわたしの袂には、果ての無い大空の露が降りたのでしょうか・・・
覚めてみると悲しみの涙でびっしょりと濡れています。
逢うことはできない夢の中の通い路
男は、女に秋波を送るが女は一向に逢ってくれそうもない。
せめて夢の中だけでも、と思うが夢でも逢うことができない。
この時代は、相手を思うと、その相手の夢の中に自分の姿が現れるという発想であり、
夢で女と逢えないということは、この女が自分のことを思っていないということ。
それ故、男の落胆も大きく、目を覚ますと袂が涙でひどく濡れている。
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