伊勢物語-第六十四段 玉すだれ

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、みそかに語らふわざもせざりければ、いづくなりけむ、あやしさによめる、

和歌(116)

吹く風にわが身をなさば玉すだれひま求めつつ入るべきものを

 

返し、

和歌(117)

とりとめぬ風にはありとも玉すだれたが許さばかひま求むべき

 

(現代訳)

昔、ある男が、女が人目を忍んで契り合い、親しい会話を交わすこともしなかったので、

あの女はどこに住んでいるのだろうかと不審を抱き詠んだ。

和歌(116)

私の身を自由に吹き通る風にすることができれば、玉すだれの隙間を探して中に入り込むことができるのですが。

 

この歌に対する女の返し、

和歌(117)

取り押さえることができない風ではあっても、誰の許しを得て玉すだれのすきまを探し当てることができるのでしょうか。

男が女に目をとめたが、一向に進展しない。

そこで男は、自分自身を風にたとえ、風ならあなたの部屋の玉すだれのすきまから入り込むことができるのですが、と詠むが、

女にそんなことは誰も許しはしないでしょうと切り返される。

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