伊勢物語-第七十二段 大淀の松

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男伊勢の国なりける女、またえはで、隣の国へいくとて、いみじう恨みければ、女、

和歌(132)

大淀の松はつらくもあらなくにうらみてのみもかへるなみかな

 

(現代訳)

昔、男が、伊勢の国に住んでいた女に、再会することもなく、伊勢の隣の国へ行くというので、ひどく女を恨んだので、女は、次のように詠んだ、

和歌(132)

伊勢の国の大淀の松のように、私は薄情でもないのに、貴方は勝手に私を恨んで、松のもとまで流れて来ることもせずに返っていく波のようなのは、貴方ですね。

六十九段から斎宮さいぐう関連の物語が続きます。

 

しかし、この段の女は、斎宮さいぐうではなく、斎宮さいぐうに仕える女房であり、男が素っ気なく対応したことへの、女の恨み節です。

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