伊勢物語-第九十二段 棚なし小舟 2021-07-06 WRITER 雨野やたしげ この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 (原文) むかし、恋しさに来つつかへれど、女に消息をだにえせでよめる。 和歌(166) 芦辺こぐ棚なし小舟をふねいくそたびゆきかへるらむしる人もなみ (現代訳) 昔、男が、女への恋しさから会いたい思いで女のもとへ来ては帰るのだが、その女に便りを送ることもできずに詠んだ。 和歌(166) 芦が生える岸辺を棚板も無い小舟が、芦に隠されて人知れず行ったり来たりしているが、私の恋もまさに誰にも気付かることもなく、行っては帰るだけであろう。 棚なし小舟をふね 棚板の無い小さな小舟。 「棚なし小舟をふね」の頼りない姿は、男の姿なのでしょう。 自信がなくどこか自虐的ですが、女の元を何度も訪れる誠実な男の姿が浮かんできます。 この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 前の記事 -Prev- 伊勢物語-第九十一段 惜しめども 次の記事 -Next- 伊勢物語-第九十三段 たかきいやしき 関連記事 - Related Posts - 伊勢物語-第八十九段 なき名 伊勢物語-第一段 降りくらし(伝 為氏本) 伊勢物語-第十八段 あきの夜も(伝 為氏本) 伊勢物語-第百二十段 筑摩の祭 最新記事 - New Posts - 伊勢物語 あとがき 伊勢物語-第十八段 あきの夜も(伝 為氏本) 伊勢物語-第十七段 夢と知りせば(伝 為氏本) 伊勢物語-第十六段 太刀のをがはの(伝 為氏本)