伊勢物語-第九十三段 たかきいやしき

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、身はいやしくて、いとになき人を思ひかけたりけり。

 

すこし頼みぬべきさまにやありけむ、臥して思ひ、起きて思ひ、思ひわびてよめる。

和歌(167)

あふなあふな思ひはすべしなぞへなくたかきいやしき苦しかりけり

 

むかしもかかることは、世のことわりにやありけむ。

 

(現代訳)

昔、ある男が身分は大層低かったが、大層高貴な女に思いをかけた。

 

少し脈ありで頼みにできそうな様子がうかがえたのであろうか、横になり思い、起きて思い、思いわずらって詠んだ。

和歌(167)

身分相応の恋をすべきだ。あまりにも身分が違う者同士の恋は苦しいものだなあ。

 

昔も身分の違う者同士の恋が苦しいのは、世の中の道理であった。

身分が違い過ぎる男女の恋など普通成立しないのでしょうが、男の見立てでは、少し脈がありそうだという…

 

だからといって、簡単に逢えて話ができる相手でもなく、それならいっそ、全く相手にもしてもらえず、諦める方が辛くはないのかもしれない…そんな話。

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