古事記を読む(113)上つ巻-日向三代
この記事を書いている人 - WRITER -
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
海幸彦と山幸彦
綿津見大神は、
「兄の火照命が高いところに田を作るならば、あなたは低いところに田を作りなさい。もし兄が低い土地に田を作るならば、あなたは高いところに田を作りなさい。そうすれば、わたしは水を支配しているので、3年の間に兄の火照命は、貧しくなるでしょう。もし、そうしたことを恨んで、あなたを攻めて来たら、この塩盈珠を出して溺れさせさせて、もし苦しみから助けを求めたならば、この塩乾珠を使って助けてあげて、苦しめ悩ましなさい」
と言って、
塩盈珠と
塩乾珠の2つを
火遠理命に授けると、
すぐに和邇を集めました。
綿津見大神は、
「今、天津日高の御子の虚空津日高が、上の世界へお帰りになる。誰が、送って差し上げ、帰るのに何日かかるかを報告出来るか」
と尋ねると、
和邇たちは、自分の体長に従って日数を申し上げているなか、
一尋和邇が、
「わたしは1日で送って差し上げ、帰ってきます」
と言いました。
塩盈珠:海を満潮にできる玉
塩乾珠:海を干潮にできる玉
一尋和邇:和邇は、因幡の素兎でも論争になっていたように、サメだという論と、ワニだという論と、両論あります。そして、一尋は、釣りでもよく使われる単位で、大人が両手を広げたときの長さ程度でおよそ1.5mくらいです。
綿津見大神のここまでの想定は、もはや兄弟喧嘩の域を越えています。
もしかしたら、火照命と火遠理命との間に権力争いがあったのかもと想像してしまいます。
この記事を書いている人 - WRITER -
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」