古事記を読む(126)中つ巻-初代・神武天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

五瀬命いつせのみこと

神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことが、その太刀を手に入れたいきさつを高倉下たかくらじにお尋ねになると、

高倉下たかくらじは、

「わたしは、夢を見ました。天照大御神あまてらすおおみかみ高木神たかぎのかみ高御産巣日神たかみむすびのかみ)が建御雷神たけみかづちのかみをお呼びになりました。

そして、

葦原中国あしはらのなかつくに(日本)は、とても騒がしく、わたしの子どもたちを苦しめています。葦原中国あしはらのなかつくには、建御雷神たけみかづちのかみそなたが平定した国であるから、そなたが降って行きなさい』

と仰せになりました。

これに対して、建御雷神たけみかづちのかみは、

『わたしが地上に降らなくても、葦原中国あしはらのなかつくにを平定した太刀がございます。その太刀を降ろしましょう』

とお答えになりました。

この太刀の名前は、佐士布都神さじふつのかみといいます。

別名を甕布都神みかふつのかみ

別名を布都御魂ふつのみたまといいます。

この太刀は、石上神宮いそのかみのかみのみやに鎮座しています。

さらに、建御雷神たけみかづちのかみは、

『この太刀を降ろす方法は、高倉下たかくらじの倉の屋根に穴を開けて、そこから落とし入れるのが良いでしょう。だから、そなた高倉下たかくらじは、朝目が覚めたら、太刀を取り持って、天つ神あまつかみの御子に献上しなさい』

と仰せになりました。

そして、夢の通りに、朝になって目を覚ますと太刀がありましたので、太刀を献上いたしました」

と言いました。

非常に長いですが、全て高倉下たかくらじ神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことに太刀を手に入れたいきさつを説明している会話です。

要は、高倉下たかくらじは、夢を見たと。

その夢で、天照大御神あまてらすおおみかみが、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことを助けるために建御雷神たけみかづちのかみに地上に降りるよう命じた。

しかし、建御雷神たけみかづちのかみは、わざわざ降りなくても、この太刀を持っていけば良いと答えた。

そして、翌朝、目を覚ますと、本当にその太刀が置いてあったので、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことのもとに持ってきたということです。

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