2019/07/29

古事記を読む(133)中つ巻-初代・神武天皇

 




この記事を書いている人 - WRITER -
雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

伊須気余理比売いすけよりひめ

神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことが日向にいらしたとき、阿多あた(鹿児島県)の小椅君おばしのきみの妹の阿比良比売あひらひめと結婚しました。

そのとき、生まれた子が、多芸志美美命たぎしみみのみこと、次に岐須美美命きすみみのみことのニ柱です。

神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことは、さらに皇后とすべき美しい女性をお求めになっていると、大久米命おおくめのみことが次のように申し上げました。

「このあたりに、神の御子というべき少女がおります。

そのように言われる理由は、三島湟咋みしまみぞくいの娘の勢夜陀多良比売せやだたらひめは、とても美しい少女で、美和みわ(三輪)の大物主神おおものぬしのかみがその少女を気に入ってしまいました。

少女が大便をしているときに、大物主神おおものぬしのかみ丹塗矢にぬりや(赤く塗った矢)に化けて、そのトイレの水が流れる溝に流れ下り、その少女の陰部を突きました。

すると、少女は、驚き慌てふためきました。

少女は、すぐにその矢を持って床に置くと、矢はたちまち麗しい男(大物主神おおものぬしのかみ)に変わりました。

大物主神おおものぬしのかみがその少女をめとって生んだ子が、

富登多多良伊須須岐比売命ほとたたらいすすきひめのみことで、別名を比売多多良伊須気余理比売ひめたたらいすけよりひめといいます。

富登ほとが女性の陰部を示す言葉であるので、これを嫌いのちに名前を改めました。

このような訳で、伊須気余理比売いすけよりひめは、神の御子といわれています」

 

このように、大久米命おおくめのみことは、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことに申し上げました。

大物主神おおものぬしのかみ大国主神おおくにぬしのかみに国作りを助ける代わりに、自分を三輪山みわやまに祀れと申し上げた神。その一方、大国主神おおくにぬしのかみと同一視もされている。

参考:古事記を読む(73)上つ巻-大国主神

 

矢に化けて、トイレ中の少女の陰部を突くという話は、とんでもない話のようで、割とよく出てくる物語です。

結果、神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことは、この伊須気余理比売いすけよりひめを皇后とする訳ですが、これでまた、大きく地盤を固めました。

邇邇芸命ににぎのみことは、山の神の娘の木花知流比売このはなちるひめ

火遠理命ほおりのみことは、海の神の娘の豊玉毘売とよたまひめ

そして、

神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことは、大物主神おおものぬしのかみ大国主神おおくにぬしのかみと同一視も)の娘の伊須気余理比売いすけよりひめを次々とめとり、

日本の統治をより強固なものとして行きます。

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雨野やたしげ
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