古事記を読む(14)上つ巻-伊邪那岐神と伊邪那美神

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

黄泉国よみのくに

伊邪那岐神いざなきのかみは、愛する妻の伊邪那美神いざなみのかみに会いたいと思い、妻を追って黄泉国よみのくにへ行きました。

黄泉国よみのくにの閉ざされた戸口から伊邪那美神いざなみのかみが出迎えました。

伊邪那岐神いざなきのかみは、伊邪那美神いざなみのかみ

「愛しい我が妻よ。わたしとあなたとでつくった国はまだ出来ていない。一緒に帰ろう。」

と言いました。

すると伊邪那美神いざなみのかみは、

「残念なことです。もっと早く来てくだされば、よかったのに。わたしは、もう黄泉国よみのくにの釜で煮た食べ物を食べてしまいましたので、現世に帰ることはできません。でも、せっかくあなたが会いにいらしてくれたのですから黄泉国よみのくにの神に相談をしてみます。その間、決してわたしを覗かないと約束してください」

と言いました。

こう言い残して、伊邪那美神いざなみのかみは御殿の中に帰って行きました。

しかし待てどくらせど伊邪那美神いざなみのかみが帰ってこないので、伊邪那岐神いざなきのかみは、耐え切れず、左右に束ねた髪の左側に刺してあったくしの太い歯を一本折って、それに一つ火を灯して、中を覗きました。

一つ火:闇夜に一つ火を灯すことは忌み嫌われ、不吉なものやあの世のものが見えてしまうと考えられています。仏壇などは本来二つ火を灯します。

 

「絶対に中を覗かないでください」のこの鶴の恩返しパターンは、古事記や昔話でもたびたび出てきますが、覗かなかったパターンはないですね・・・

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