古事記を読む(172)中つ巻-第11代・垂仁天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

丹波の4人の妻

垂仁すいにん天皇は、かつての妻沙本毘売さほびめの遺言通りに美知能宇斯王みちのうしのみこの娘たちである、

比婆須比売命ひばすひめのみこと

弟比売命おとひめのみこと

歌凝比売命うたごりひめのみこと

円野比売命まとのひめのみこと

の4柱を妻としました。

 

ところが比婆須比売命ひばすひめのみこと弟比売命おとひめのみことは、お留めになりましたが、あとの妹の歌凝比売命うたごりひめのみこと円野比売命まとのひめのみことは、とても容姿が醜かったため、故郷に返してしまいました。

 

円野比売命まとのひめのみことは、このことを恥じて、

「同じ姉妹の中で容姿が醜いからと故郷に返されたことが、近所に知られ、噂になると、恥ずかしいことです」

と言って、山代国の相楽さがらか(京都府相楽そうらく群)に着くと、木の枝に首を吊って死のうとしました。

そういうわけで、この土地を「懸木さがりき」と呼ぶようになり、今は「相楽さがらか」と呼ばれています。

 

そして、円野比売命まとのひめのみことは、弟国おとくに(京都府乙訓おとくに郡)に着くと、ついに深い崖から落ちて死んでしまいました。

そういうわけで、この土地を「堕国おちくに」と呼ぶようになり、今は「弟国おとくに」と呼ばれています。

一人の男性の元に姉妹が嫁ぎ、そのうちの一方が容姿が醜いという理由で返されるパターンは、木花之佐久夜毘売このはなさくやひめ石長比売いわながひめのパターンと全く同じです。

参考:天皇家に寿命がある理由

日本古代では姉妹で同じ男性に嫁ぐことはよくあったことですが、こうした容姿を理由にして一方が返されるというパターンも割と珍しいことではなかったのかもしれません。

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