古事記を読む(200)中つ巻-第14代・仲哀天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

気比大神けひのおおかみ

建内宿禰たけうちのすくねは、

太子(品陀和気命ほむだわけのみこと)をお連れしてみそぎをしようと近江や若狭を次々と巡って、越前の敦賀つるがに仮宮を作り、お迎えしました。

 

すると、その敦賀つるがの土地に鎮座する伊奢沙和気大神命いざさわけのおおかみのみことが太子の夢に出て言いました。

「わたしの名前を太子の名と取り換えたい」

 

これに対して、太子は、

かしこまりました。お言葉の通り、名を取り換えましょう」

と答えました。

 

するとその神は、

「明日の朝、浜に行きなさい。名を取り換たことへの贈り物を献上しよう」

と仰せになりました。

 

翌朝、太子が浜に行くと、鼻が傷ついたイルカが一面に打ち上げられていました。

 

太子は、この状況を見て、

「神より、食料となる魚を賜った」

と仰せになり、

その神を御食津大神みけつおおかみと名付けました。

 

今で言う、気比大神けひのおおかみです。

 

また、そのイルカの鼻の血が臭かったことから、その浦を「血浦」といいます。

 

現在は、「都奴賀つぬが」(敦賀つるが)といいます。

御食津大神みけつおおかみ御食みけは、神に差し上げる食事のこと。

 

太子(品陀和気命ほむだわけのみこと)は、名前を神と交換し、イルカを頂戴します。

 

つまり、古代日本では、イルカは、貴重な食料だったということです。

そして、鼻を銛で突いて狩りをしていました。

 

太子(品陀和気命ほむだわけのみこと)が名前を神と交換した意味は、

神と対話し、さらに神の食事である御食みけまでも頂戴して、天皇としての正当性を示す大きな意味があったと思われます。

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