古事記を読む(205)中つ巻-第15代・応神天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

矢河枝比売やかわえひめ

ある日、応神おうじん天皇は、

近江国へ行こうと、宇治野うじの(京都府宇治市)から葛野かずのをお望みに成り、次の歌をお詠みになりました。

和歌(36)

千葉の 葛野を見れば 百千足る 家庭も見ゆ 国の秀も見みゆ

(葛野を見渡すと、沢山の家並みが見える。国のすばらしいところも見える)

 

また、

応神おうじん天皇が、木幡村こはたのむらに至ったとき、

道の分かれ目で、可愛らしい少女と出会いました。

 

応神おうじん天皇は、その少女に、

「あなたは誰の子であるか」

とお問いになりました。

 

すると少女は、

丸邇わに比布礼能意富美ひふれのおおみの娘で、

名は、宮主矢河枝比売みやぬしのやかわえひめです」

と答えました。

 

そこで、応神おうじん天皇は、その少女に、

「わたしが、明日都に帰るときにあなたの家に立ち寄ろう」

と仰せになりました。

 

矢河枝比売やかわえひめは、早速そのことを詳細に父に話しました。

 

すると、父親は、

「それは、天皇に違いない。畏れ多いことである。我が子よ。お仕え申し上げなさい」

と言って、家を立派に飾り付け、待っていたところ、

応神おうじん天皇は、矢河枝比売やかわえひめの家にお入りになりました。

 

そして、天皇にご馳走を差し上げるときに、比布礼能意富美ひふれのおおみがおさかずきを持たせました。

古事記に出てくる天皇は、みんな可愛らしい少女が大好き。

見た目は悪いが気立ては良いからめとったなんて話は、少なくとも古事記にはありません。

これも、もちろん、ただ家に寄るだけではなくて、嫁としてめとるわけです。

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