古事記を読む(235)下つ巻-第20代・安康天皇

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

大日下王おおくさかのみこの事件

允恭いんぎょう天皇の御子である穴穂御子あなほのみこは、

石上穴穂宮いそのかみのあなほのみや(奈良県天理市田町)で天下を統治なさいました。

 

天皇は、弟の大長谷王子おおはつせのみこのために坂本臣さかもとのおみらの祖である根臣ねのおみ大日下王おおくさかのみこ允恭いんぎょう天皇の異母弟)のところに遣わして、

「あなたの妹である若日下王わかくさかのみこ大長谷王子おおはつせのみこと結婚させたいと思うので、協力をしなさい」

と伝えさせました。

 

これに対して、大日下王おおくさかのみこは、4度拝み言いました。

 

「もしそのような重要なご命令があればと思い、妹を外に出さずにおきました。これは、畏れ多いことです。ご命令のままに奉りましょう」

 

そして、大日下王おおくさかのみこは、言葉だけで申し上げるのは、無礼にあたると思い、妹の礼物いやじろ(敬意を表す品物)として押木玉鬘おしきのたまかずら根臣ねのおみに持たせて献上しました。

 

根臣ねのおみは、その礼物いやじろ玉鬘たまかずらを盗み取り、大日下王おおくさかのみこおとしめて、天皇に報告しました。

大日下王おおくさかのみこは、勅命ちょくめいを受けず、『わたしの妹は、同族の下敷きになりはしない』と言って、太刀の柄を握って怒りました」

 

これに、天皇は、大いにお怒りになり、大日下王おおくさかのみこを殺して、そのみこの妻である長田大郎女ながたのおおいらつめを連れて来て皇后となさいました。

このように、殺した相手の妻を自分の妻として迎える展開が古事記でもたびたびあります。

そうすることで、殺してもなお屈辱を与えるという見方よりは、案外、情けの割合が多いように思います。

「夫を殺して申し訳なかった。わたしが生活の面倒をみよう」的な。

 

しかし、大日下王おおくさかのみこのこの件は、完全に冤罪ですからねぇ。

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