古事記を読む(59)上つ巻-大国主神

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

根之堅洲国ねのかたすくに

次の日、大穴牟遅神おおなむぢのかみは、蜈蚣むかでと蜂のむろに入れられました。

けれども、また須勢理毘売すせりびめが、蜈蚣むかでと蜂の比礼ひれ大穴牟遅神おおなむぢのかみに授け、昨日と同じ様に使うように教えたので、大穴牟遅神おおなむぢのかみはまた、無事に蜈蚣むかでと蜂のむろから出てきました。

次に、須佐之男命すさのおのみことは、鏑矢かぶらやを野原に射て、

その矢を大穴牟遅神おおなむぢのかみに取りに行かせました。

大穴牟遅神おおなむぢのかみが矢を求めて、野原に入ると、

須佐之男命すさのおのみことは、火を放ち、周囲を焼いてしまいました。

大穴牟遅神おおなむぢのかみが逃げ場を失って困っていると、

ねずみ大穴牟遅神おおなむぢのかみのところに来て、

「中はほらほら、外はすぶすぶ」

と言いました。

 

大穴牟遅神おおなむぢのかみねずみの言うとおりにその場を踏みしめると地下が空洞になっていました。

そこに隠れ入っている間に火は野原を焼き尽くして消えてしまいました。

さらに、そのねずみが、鏑矢かぶらやをくわえて出て来て、大穴牟遅神おおなむぢのかみに渡しました。

その鏑矢かぶらやの羽は、そのねずみの子どもたちが食べちぎっていました。

鳴鏑なりかぶらかぶらの付いた矢

中はほらほら、外はすぶすぶ:中はぽっかりと空洞で、外の出入り口はすぼまっているという意味

 

須佐之男命すさのおのみこともめちゃくちゃなことをやりますが、

えっと気になるのは・・・

大穴牟遅神おおなむぢのかみは、八十神やそがみに殺されたときも、今回も、自分の力で危機を何一つ乗り切っていないのが分かります。

大穴牟遅神おおなむぢのかみ(のちの大国主神おおくにぬしのかみ)というのは、常に周囲の誰かに助けられながら、逆に言えば、助けてあげたくなるような優しい人柄が特徴で、女性にもモテて、そういう個性であると言えると思います。

そして、須佐之男命すさのおのみことからの大穴牟遅神おおなむぢのかみへの試練は、まだまだ続きます。

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