古事記を読む(64)上つ巻-大国主神

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

八千矛神やちほこのかみ

八千矛神やちほこのかみ大国主神おおくにぬしのかみの別名)は、越国こしのくに(北陸地方)の沼河比売ぬなかわひめと結婚しようと、お出掛けになったときのことです。

沼河比売ぬなかわひめの家に行き、次の歌をお詠みになりました。

和歌(2)
八千矛やちほこの 神のみことは 八島国やしまくに 妻娶つままきかねて 遠遠し 高志こしの国に 賢し女さかしめを 有りと聞かして 麗し女くはしめを 有りと聞こして さ呼ばひに あり立たし 呼ばひに ありかよはせ 大刀たちが緒も いまだ解かずて 襲衣おすひをも いまだ解かねば 嬢子おとめの 寝すや板戸を 押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ 我が立たせれば 青山に ぬえは鳴きぬ さ野つ鳥 きじはとよむ 庭つ鳥 鶏は鳴く 心痛うれたくも 鳴くなる鳥か この鳥も 打ち止めこせね いしたふや 天馳使あまはせづかい 事の 語り言かたりごとも 是をば

八千矛神やちほこのかみは、八島国やしまくに(日本)妻をめとることができなかったので、遠い遠い越国こしのくにに賢い女性が居ると聞いて、うるわしい女性がいると聞いて、求婚しに出掛けて、何度も求婚するために通いました。

太刀の緒もほどかず、羽織も脱がないうちに、乙女が寝ている家の板戸を押し揺さぶっていると、山でぬえが鳴きました。

野のきじが鳴きました。庭の鶏が鳴きました。いまいましくも鳴く鳥よ。

あの鳥どもを打って静かにしてしまえ。天を駆ける使いよ。

このことを語ってお伝えします。)

和歌(2):大国主神おおくにぬしのかみは、八上比売やがみひめ須勢理毘売すせりびめめとりますが、北陸地方に賢くて綺麗な乙女がいるという噂を聞いて、求婚しに出掛けて行ったときの歌です。その乙女が住む家の戸を開けようとガタガタとやっていると、周りで鳥たちが鳴きだして、そのうるささに苛立っているという歌・・・

 

現代では完全に警察に通報されてしまう行動ですが、女性の早婚、一夫多妻、夜這い制度、もろもろ勘案すると特に珍しいことでもなかったのかもしれません。

そして、この乙女は、この和歌に対して、和歌で返事をします。

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