日の本の屋根裏から日本を考える

古事記を読む(67)上つ巻-大国主神

 







この記事を書いている人 - WRITER -
雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

八千矛神やちほこのかみ

和歌(5)

ぬばたまの 黒き御衣みけしを まつぶさに とり装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも これは適はず 辺つ波 そに脱き棄て そに鳥の 青き御衣みけしを まつぶさに とり装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此も適はず 辺つ波 そに脱き棄て 山県やまがたに蒔きし あたね舂き 染め木が汁に 染め衣を まつぶさに とり装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此し宜し いとこやの 妹のみこと 群鳥の 我が群れ往なば 泣かじとは 引け鳥の 我が引け往なば 泣かじとは 汝は言ふとも やまとの 一本薄ひともとすすき 項傾し 汝が泣かさまく 朝雨の 霧に立たむぞ 若草の 妻のみこと 事の 語り言かたりごとも 是をば

(黒い衣をぴったりと着て、沖の水鳥のように胸もとを見たとき、羽ばたきするように広げてみてもこれは似合わない。浜辺の波が返るように、衣を背後に脱ぎ捨て、カワセミのように青い衣をぴったりと着て、沖の水鳥のように胸もとを見て、羽ばたきするように広げてみてもこれは似合わない。浜辺の波が返るように、衣を背後に脱ぎ捨て、畑に蒔いた藍蓼あいたでで染めた衣をぴったりと着て、沖の水鳥のように胸もとを見たとき、羽ばたきするように広げてみると、これはよく似合う。愛しい我が妻よ。わたしが立ち去って、群鳥のように大勢が後を追って立ち去ったならば、泣かないとあなたは言うだろうが、山の一本ススキのようにうな垂れて、きっと泣くだろう。朝の雨が悲しさの霧のように立ち込めるだろう。このことを語ってお伝えします。)

 

この歌を受けて、妻の須勢理毘売すせりびめは、さかずきを手に取り、八千矛神やちほこのかみの傍に寄り、歌をお詠みになります。

和歌(5):繰り返しが多く冗長な和歌ですが、要は、黒い服より、青い服より、藍色の服が似合うなぁ俺って。

旅に出て行くことに対して、きみ(妻)は泣かないと言っているが、きっと泣いてしまうのだろうなぁというただそれだけの内容です。

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