クライマックスが序盤に来る物語
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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。
日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
「古事記を読む」シリーズもようやく「上つ巻」が終了しました。
個人的にというよりも、100人中99人が古事記の見所は、どこかと訊かれたら、「上つ巻」と答えるであろう。
そう、古事記という読み物は、序盤にクライマックスが来て、その後は、ずっと盛り下がっていく読み物と言える・・・笑
現に、よく古事記のワンシーンとして知られた物語は、ほとんどが「上つ巻」のものである。
伊邪那岐神と
伊邪那美神の国生み、
伊邪那岐神の
禊、
天照大御神と
須佐之男命の
誓約、
天照大御神の
天の石屋戸、
須佐之男命の
八岐大蛇退治、
大国主神の
因幡の素兎、
大国主神の国作り、
大国主神の国譲り、
邇邇芸命の天孫降臨、
古事記のワンシーンとして描かれるのは、ほとんどが上記のどれかであるが、上記のすべてが「上つ巻」である。
もちろん、「中つ巻」、「下つ巻」にも日本人として知っておくべき大事な物語はたくさんあるのだが、「上つ巻」に比べたら、如何せん退屈な描写と言わざるを得ない。
「上つ巻」は神の物語、「中つ巻」は人と神の物語、「下つ巻」は人の物語と言え、ここで人というのは、天皇である。
確かに物語としての盛り下がりは否めないが、
高天原(天上世界)の
天つ神であった天皇の祖先が、天孫降臨で
葦原中国(日本)に降り立ち、寿命のない神から寿命のある人へと変わって行き、現在の皇室へと続いて行く・・・
このグラデーションのような設定は、個人的に極めて秀逸であると思っている。
参考:天皇家に寿命が設定されたエピソード
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