伊勢物語-第百九段 人こそあだに

 
伊勢物語







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男、友だちの人をうしなへるがもとにやりける。

和歌(188)

花よりも人こそあだになりにけれいづれをさきに恋ひむとか見し

 

(現代訳)

昔、男が、愛する人をなくした友人のもとに送った。

和歌(188)

先に散ると思っていた花よりも人のほうが先に儚く逝ってしまいましたね。花と人のどちらを先に追慕すると思っていたのでしょうか、花よりも人を先に追慕することになるとは思いもかけなかったでしょうに。

この歌は、『古今集』にもあり、詞書では、

「桜を植ゑてありけるに、やうやく花咲きぬべき時に、かの植ゑける人身罷みまかりにければ、その花を見てよめる」

とあります。

 

桜を植えて、ようやく花が咲きそうなときに、その桜を植えた人がなくなってしまったので、その花を見て詠んだと…

妻をなくした夫が詠んだということでしょう。

 

伊勢物語のこの段で描かれている状況とは少し異なります。

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