日の本の屋根裏から日本を考える

伊勢物語-第二十五段 逢はで寝る夜

 
伊勢物語







この記事を書いている人 - WRITER -
雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、男ありけり。

あはじともいはざりける女の、さすがなりけるがもとに、いひやりける。

和歌(56)

秋の野にささわけし朝の袖よりもあはで寝る夜ぞひちまさりける

色好みなる女、返し、

和歌(57)

みるめなきわが身をうらとしらねばや離れなで海人の足たゆく来る

 

(現代訳)

昔、男がいた。

逢わないとは言わないが、かと言って、逢う気はないとも言わずはぐらかしてしまう女のもとに、男が歌を送った。

和歌(56)

秋の野に笹を分けて朝帰りしたときの袖よりも、あたなに逢えずに一人寝する夜のほうが、袖は涙でびっしょりと濡れています。

情趣を好む女の返し、

和歌(57)

見所も無いわたしをつまらないものと知らないからでしょうか。あなたは、わたしから離れて諦めもせず、疲れた足をひきずりながらわたしのもとに通ってくるのですね。

この2首は「古今集」にある歌で、

和歌(56)(恋三「題しらず622」)は在原業平、

和歌(57)(恋三「題しらず623」)は小野小町の歌としてとられています。

 

後世に面白がって妄想のまま、あたかも贈答歌のように仕立てあげたものであり、伊勢物語には多く見られるパターンです。

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