伊勢物語-第三十八段 恋といふ 2020-05-23 2020-07-07 WRITER 雨野やたしげ この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 (原文) むかし、紀の有常ありつねがりいきたるに、歩きて遅く来けるに、よみてやりける、 和歌(73) 君により思ひならひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ 返し、 和歌(74) ならはねば世の人ごとに何をかも恋とはいふと問ひし我しも (現代訳) 昔、男が紀有常きのありつねの所に行ったところ、 紀有常きのありつねは、外出していて遅くに帰って来たので、男は歌を詠んで送ったのであった。 和歌(73) あなたによって、思い知らされました。このような待ち遠しい気持ちを世の中の人は恋というのでしょうね。 紀有常きのありつねの返し、 和歌(74) わたしは恋の経験が無いので、世間の人に何を恋だと言うのか聞いているほどです。 そんなわたしが、恋とは何か教えることになるとは・・・ 紀有常きのありつねは、自分のことを「恋の経験が無い」と言っていますが、そんなことはなく、実際は経験豊富・・・ 一方、 男を恋多き業平なりひらとみなすなら、 そんな百戦錬磨の業平なりひらが、恋の経験が無いという設定の紀有常きのありつねに恋の真髄を気付かされるという落差がおかしさを誘う。 要は、男二人がキャラ設定のもと歌を送り合って、じゃれ合っている。 この記事を書いている人 - WRITER - 雨野やたしげ フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」 前の記事 -Prev- 伊勢物語-第三十七段 下紐 次の記事 -Next- 伊勢物語-第三十九段 源の至 関連記事 - Related Posts - 伊勢物語-第六十七段 花の林 伊勢物語-第八十一段 塩竃 伊勢物語-第五十八段 荒れたる宿 伊勢物語-第八十三段 小野 最新記事 - New Posts - 伊勢物語 あとがき 伊勢物語-第十八段 あきの夜も(伝 為氏本) 伊勢物語-第十七段 夢と知りせば(伝 為氏本) 伊勢物語-第十六段 太刀のをがはの(伝 為氏本)