日の本の屋根裏から日本を考える

伊勢物語-第三十八段 恋といふ

 
伊勢物語







この記事を書いている人 - WRITER -
雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

(原文)

むかし、紀の有常ありつねがりいきたるに、歩きて遅く来けるに、よみてやりける、

和歌(73)

君により思ひならひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ

 

返し、

和歌(74)

ならはねば世の人ごとに何をかも恋とはいふと問ひし我しも

 

(現代訳)

昔、男が紀有常きのありつねの所に行ったところ、

紀有常きのありつねは、外出していて遅くに帰って来たので、男は歌を詠んで送ったのであった。

和歌(73)

あなたによって、思い知らされました。このような待ち遠しい気持ちを世の中の人は恋というのでしょうね。

 

紀有常きのありつねの返し、

和歌(74)

わたしは恋の経験が無いので、世間の人に何を恋だと言うのか聞いているほどです。

そんなわたしが、恋とは何か教えることになるとは・・・

紀有常きのありつねは、自分のことを「恋の経験が無い」と言っていますが、そんなことはなく、実際は経験豊富・・・

一方、

男を恋多き業平なりひらとみなすなら、そんな百戦錬磨の業平なりひらが、恋の経験が無いという設定の紀有常きのありつねに恋の真髄を気付かされるという落差がおかしさを誘う。

 

要は、男二人がキャラ設定のもと歌を送り合って、じゃれ合っている。

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