古事記を読む(17)上つ巻-伊邪那岐神と伊邪那美神

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

黄泉国よみのくに

しかし、最後に伊邪那美神いざなみのかみが後を追って来ました。

伊邪那岐神いざなきのかみは、千人がかりでようやく動かせるような千引きちびきの岩黄泉比良坂よもつひらさかを塞いでしまいました。

その千引きの岩ちびきのいわをはさんで向き合い、伊邪那岐神いざなきのかみ伊邪那美神いざなみのかみは話し合いました。

伊邪那岐神いざなきのかみが離別の呪言じゅごんを言い渡すと、

伊邪那美神いざなみのかみは、

「愛しい夫がそのようなことをするのであれば、あなたの国の人間を毎日1000人締め殺してしまいましょう」

と言いました。

それに対して、伊邪那岐神いざなきのかみは、

「愛しい妻がそのようなことをするのであれば、一日に1500の産屋を建てましょう」
と言いました。

このため現世では、毎日1000人が死んで、1500人が生まれることになりました。

 

そして、黄泉国よみのくにに残った伊邪那美神いざなみのかみは、黄泉津大神よもつおおかみと呼ばれるようになり、

また伊邪那岐神いざなきのかみに追いついたということから、道敷大神ちしきのおおかみとも呼ばれるようになりました。

黄泉比良坂よもつひらさかを塞いだ大岩を道反之大神ちがえしのおおかみ、または黄泉戸大神よみどのおおかみと呼ぶようになりました。

黄泉比良坂よもつひらさかは、出雲の伊賦夜坂いふやさかだという。

黄泉国よみのくに黄泉国よみのくにの詳細については、古事記ではほとんど語られません。

黄泉比良坂よもつひらさかと伝えられる場所は、島根県揖夜神社いやじんじゃ近くに存在します。

毎日1000人締め殺し、一日に1500の産屋を建てる:一見、恐ろしい話ですが、これは日本という国がこれから発展して行くことを象徴しています。現在は、亡くなる人よりも生まれてくる人の方が少なくなってしまいましたが・・・

 

古事記的にいうと、これ以来伊邪那美神いざなみのかみによって日本人に寿命(死)がもたらされ、伊邪那岐神いざなきのかみによって日本人が生を受けるようになりました。

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