古事記を読む(180)中つ巻-第12代・景行天皇
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日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。
古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」
倭建命の出雲征伐
倭建命は、大和に帰る途中「出雲国」へと入り、その地の「
出雲建」も殺そうと考え、
出雲国に到着すると倭建命は、すぐに出雲建と友人になりました。
倭建命は、密かに
樫の木で偽の太刀を作り、それを腰に身に着けて、
出雲建と一緒に
斐伊川で沐浴に出掛けました。
倭建命は、先に河から上がると、
出雲建が外して置いていた太刀を手に持ち、
「太刀を取り換えよう」
と仰せになりました。
出雲建も河から上がると、
倭建命の
樫の木で作った偽の太刀を身につけました。
倭建命は、
「いざ、太刀を合わせよう」
と仰せになりました。
各々は太刀を抜こうとしましたが、出雲建の太刀は偽物であったため、抜くことができませんでした。
倭建命は、太刀を抜くと、すかさず
出雲建を切り殺しました。
そして、倭建命は、次の歌をお詠みになりました。
和歌(22)
やつめさす 出雲建が 佩ける太刀 黒葛さは巻き さ身無しにあはれ
(出雲建が腰に佩いていた太刀は、鞘につるが沢山巻いてあるもので立派なのだが、刃が無くては意味が無い。ああ気の毒だ)
倭建命は、こうして出雲を平定し、大和の都に帰り、天皇に報告をなさいました。
和歌(22):「やつめさす」は、「出雲」にかかる枕詞。
これまた、熊曽征伐に続き、なかなかの汚い策で出雲建を討ち取りました。
そんな回りくどいことをしなくても、水浴びしている丸腰のところを襲えばいいとも思いますが、この太刀を取り換えるという件は、日本書紀にも登場します。
ある程度、なんらかの史実に則った話なのではないかと思います。
そして、この何とも馬鹿にしたような和歌・・・
倭建命は、悪びれる様子もありません。
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