古事記を読む(82)上つ巻-国譲り

 







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フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰「未来を担う子ども達に自分たちのアイデンティティである日本神話を」

天菩比神あめのほひのかみ天若日子あめのわかひこ

高御産巣日神たかみむすびのかみは、諸々の神々にその矢を見せて、

「もし天若日子あめのわかひこが命令に背かず、悪い神を射った矢が届いたのであれば、天若日子あめのわかひこには当たらない。もし天若日子あめのわかひこに邪心があったならば、天若日子あめのわかひこに当たって死ぬ」

と仰せになり、その矢を取り、矢が飛んできた穴からき返しました。

すると、その矢は、天若日子あめのわかひこが寝ている床に飛んで行き、天若日子あめのわかひこの胸に当たって死んでしまいました。

結局、遣わせたきじは帰ってきませんでした。

諺の「雉の頓使いきざしのひたづかい」の起源はこの話からです。

雉の頓使いきざしのひたづかい行ったきりで帰って来ない使者。

 

「もし天若日子あめのわかひこが命令に背かず、悪い神を射った矢が届いたのであれば、天若日子あめのわかひこには当たらない。もし天若日子あめのわかひこに邪心があったならば、天若日子あめのわかひこに当たって死ぬ」という部分は、これも一種の誓約うけいですね。

その背景として、天若日子あめのわかひこの死は、命令に背いたことに対する処罰ではなく、誓約うけいの結果の自業自得によるものであるということの強調かもしれません。

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