日の本の屋根裏から日本を考える

1990年代に中学生が受けた今じゃアウトな奇妙な教育指導

 







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雨野やたしげ
フリーの翻訳者・ライター、編集、校正。 日本の伝統文化である和歌、短歌、古典、古事記、日本文化、少しのプライベート。 古事記の教育現場復帰を強く願う「自分たちの神話を学ばない民族に未来はない」。

昨今、パワハラに関するニュースをよく耳にする。

加害者とされる彼らを擁護する気はさらさらないけど、一昔前なら全く問題にされてこなかった事案がほとんどな気がする。

立場上、周りに指摘をすることができる人間もおらず、古い感覚のまま、あぐらをかいて過ごしてきたのだと思うし、

 

「常識は、時代とともに変わっていく」

 

この観点が絶望的に欠如している、そんな気がする。

 

この観点が欠如していると、被害者とされる彼らに対しても、

「俺らの頃は、そんな仕打ちは当たり前で我慢したもんだ。最近の若けぇもんは!」

この類いの言葉がいて出る。

 

これを言い出すと、どの世代であっても先輩方は必ずいる訳で、結局自分自身に返ってくるように思う。

 

流行には超無頓着だが、「今」の時代の社会の感覚は、できるだけ持つように気を付けている。

 

その観点から言うと、

わたしが青春時代を過ごした1990年代の常識と現代の常識とは、大きく変わったように思う・・・

恐怖の相談室

中学1年生のとき、わたしは、法律を犯すことはなかったが、校則はよく犯していた。

 

自転車通学、買い食い、早弁、授業さぼり、校則違反物所持、授業中の不規則行動、服装違反、ちょっとした喧嘩・・・その種のたわいもないことである。

そして、そのことが先生達にバレると必ず、「相談室」という部屋に連れて行かれるのである。

 

わたしたち仲間うちでは、「相談室」は、相談を聞いてもらう素敵なお部屋ではなく、
「お仕置き部屋」と化しており、

 

「相談室」・・・

このフレーズは、当時、本当に恐怖であり、

中学生の恐らくまだ綺麗なピンク色であろう胃がキリキリと痛むのである。

相談室には、毎回、学年の先生達数人が居合わせた。

ビンタをくらわす先生、金切り声で大説教を展開する先生、首を少しだけ傾けて、苦々にがにがしい表情をするだけで何も話さない先生、先生にも個性がある。

 

中学生によくあるちょっとした喧嘩のとき、相談室に呼び出され、思いっきりビンタをくらわされ、

「雨野(わたし)!お前の言い分はよく分かる!しかし、いかなる理由があろうとも手を出すな!」

と言われたこともあった。

 

そんななかでも、極めて伸び伸びと個性を存分に発揮した先生がいた。

三島(仮名)先生である。

三島現る・・・

その日、上記たわいもない校則違反のいずれか1つ、またはそれらの合わせ技一本で相談室へ呼び出されたわたしたち・・・

 

入学数ヶ月ですでに、再再再再相談室くらい・・・しかし、慣れることはない・・・

胃がキリキリと痛む・・・

 

今回は、どの先生が来るのか戦々恐々としているなか・・・われわれが最も恐れる・・・

・・・

・・・

三島登場!!!

 

ここで、登場人物の紹介。

三島先生

ご苦労、おのれ、おぅ!!

三島先生

性別:

年齢:30半ば。

口癖:「ご苦労」「おのれ」「おぅ!!」

特徴:色白な美白の持ち主。公家のようなお顔立ち。決して、笑わない。

社会科担当。その授業は、醸し出す恐怖感とピリピリ感で見事に誰も寝ない。

 

雨野(わたし)

雨野です

雨野

 

川内君(仮名)

川内です

川内

 

石原君(仮名)

石原です

石原

 

三島流教育指導

ポイント1:学ランのボタンを外しつつ胸ぐらを締め上げる

三島流教育指導の基本体系は、横並びである。

そのときは、石原君、わたし(雨野)、川内君の順番。

1人ずつ順に三島流教育指導を受けて行く。

 

学ランのボタンを1つ外すごとに、

 

おぅ!!

三島先生

 

と胸ぐらを締め上げる。

これが1セット。

 

通常、学ランには5つのボタンがあり、1人それぞれ、5セットの「ボタン・胸ぐら締め上げ」をくらう。

ポイント2:ベルトを締め上げ、ズボンを下ろす

各自5セットの「ボタン・胸ぐら締め上げ」をくらうと、再び先頭に戻る。

 

 

次は、ズボンのベルトを思い切り締め上げる。

そして、やっぱり

おぅ!!

三島先生

 

これは、思わず声が出てしまうくらい本当に苦しい。

 

そして、ズボンを何故か下ろされる・・・笑

これが1セット。

 

石原君、わたし(雨野)と1セットの「ベルト・ズボン下ろし」をくらい、次は、川内君・・・

 

ここで、大事件が起きる。

 

三島先生が川内君のベルトをしばらく、ごそごそとしており、お決まりの

「おぅ!!」

がなかなか聞こえてこない。

 

その、30秒・・・

 

ごそごそごそごそごそごそ・・・

ごそごそごそごそごそごそ・・・

ごそごそごそごそごそごそ・・・

ごそごそごそごそごそごそ・・・

 

直立不動。

場は、これ以上ないほど、ピリピリの超緊張状態である。

しかし、

 

(長過ぎる・・・)

雨野

 

直立不動のまま横目でうっすらと見る。

 

理由が分かった。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

その日、川内君は、少し変わったベルトをしていた・・・

(画像は、あくまでイメージです)

 

そして・・・

・・・

・・・

たまりかねて・・・

 

川内。このベルトはどうやって締める?

三島先生

 

(聞いた!!!)

雨野

 

はい。ここをこうやって締めます

川内

 

(答えた!!!)

雨野

 

ご苦労

三島先生

 

ねぎらった!!!)

雨野

 

そして、

ギュー!!(ベルトを締め上げる音)

からの・・・

おぅ!!

三島先生

 

うぅ・ぐぅぅ・・

川内

 

(川内が、自分で自分のベルトの締め方を教えて、その自分のベルトで自分の体を締め上げられて、自分で悶絶している・・・)

雨野

 

 

わたしは、ここで問いたいのです。

この茶番な教育指導、いや、もう敢えて言おう・・・

笑いのセオリー「緊張と緩和」にこんなにも忠実な珠玉しゅぎょくのショートコントを真横で見せつけられて、あなたは笑わずにおれますか??

 

 

ぶぅっふっ

雨野

 

当然・・・

 

雨野!!!おのれ!!何を笑っとるんだ!!おぅ!!

三島先生

 

笑っていません

雨野

 

笑ったであろうが!!

三島先生

 

笑っていません

雨野

 

これでもかと胸ぐらを締め上げられる。

 

ここで、

絶体絶命の極限状態に追い込まれた中学1年生が言い放った言い訳

がこれだ!!

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

口が鳴ってしまいました・・・乾燥のせいでしょうか・・・

雨野

 

・・・

・・・

・・・

おのれぇぇぇ!!!何を訳の分からんことを言っとるんだ!!おぅ!!

三島先生

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

その後、長時間、みっちりと絞り上げられ、精も根も尽き果て、解放後・・・

くたくたになりながらも、この「相談室」神回をあらゆる角度から、突っ込んで、笑いにしていき、すぐケロッとしている。

だから、反省なく同じことを性懲りも無く繰り返す・・・とも言える。

 

次の日には、川内が言いふらし、「口が鳴ってしまいました」を色んな同級生から、いじられ茶化される・・・

わたしに言わせれば、その原因は、何だということであるが・・・

さいごに

その後、わたしは、部活を真剣に取り組むようになり、相談室に呼ばれることも少なくなったように思う。

部活の常識もまた変化している。

 

1990年代は、兎跳びは、もうさすがにしなかったが、水は飲んではいけなかった。

熱中症を重んじる現在からしたら、とんでもない愚策である。

しかし、当時は、それが常識であり、疑問を抱く余地さえなかった。

 

そして、

三島先生は、わたしがまだ在学中に子どもがお産まれになり、想像もできないくらい丸くなられた・・・

スラムダンクの安西先生のように・・・

 

その急激なキャラ変も上記教育指導もトラウマになることもなく良き思い出であり、同窓会では、揺るぎない大鉄板ネタである。

 

しかし、今の時代、同じ教育指導が学校で行われたら、恐らく完全にアウトである。

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